オンラインで日本語講習を受けさせるとき、何を満たす必要があるか
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「日本語講習はオンラインでもよいのか」
先にお答えすると、条件を満たせば可能です。ただ、この論点には原本に無い説明が出回っているため、条件が何なのかを原本の書きぶりのまま知っておくほうが安全です。
要件は4つ、オンラインの条件は「同時かつ双方向」です
育成就労制度運用要領によれば、経過措置として登録日本語教員が行う講習は、次の4つを満たす必要があります。
| 要件 | |
|---|---|
| 1 | 講習の目標の水準(分野別運用方針がより高い水準を定める分野では、その水準) |
| 2 | 講習の時間が 100時間以上であること |
| 3 | 登録日本語教員1人に対して、同時に講習を受講する生徒が 20人以下であること |
| 4 | 対面以外で実施する場合は、インターネット環境を整えて、オンラインで同時かつ双方向に行われるものであること |
このうち4つ目がオンラインの条件で、「同時」と「双方向」の2つが揃っていることを求めています。
Q&Aの側も同じ趣旨を書いており、日本語講習の履修に際してはオンラインによる受講も可能だが、双方向で同時にコミュニケーションを取れるものであることなど、一定の要件を満たす必要がある、としています。出典は出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aです。
この記事が扱っているのは、どの講習か
ここを取り違えると話が噛み合わないので、先に線を引いておきます。日本語講習には、次の2つの経路があります。
- 認定日本語教育機関の「就労のための課程」による講習。これが基本の形です
- 登録日本語教員の資格を持つ者による講習。当分の間の経過措置として認められている形です
この記事が扱っているのは後者だけで、上の4要件も経過措置のほうに付いている条件です。
前者(認定日本語教育機関の課程)の授業方法については、この記事では扱っていません。別の規定(認定日本語教育機関認定基準という省令)があり、当社はその条文を取得できていないためです。同じ条件が当てはまるとは限らないので、認定機関の課程でオンライン実施を検討する場合は、機関側に確認してください。
なお、A1相当の講習とA2を目標とする講習のどちらにも、ほぼ同じ4要件が置かれています。育成就労の日本語の水準そのものについてはA1・A2の水準の記事をご覧ください。
「録画の視聴のみは不可」とは、原本に書かれていません
この記事で最もお伝えしたいのは、この点です。
この論点の説明として、「録画のeラーニングを見せるだけでは足りない」「録画単独は不可」という言い方をよく見かけます。しかし、当社が確認した範囲では、その文言は原本にありません。
- 育成就労制度Q&Aの全体で「録画」は0件、「視聴」も0件です
- 運用要領にも、録画による実施を禁止と述べた記述は、当社が抽出した範囲にありません
原本は、満たすべき条件の側から書いています。「オンラインで同時かつ双方向に行われるものであること」とは書いていますが、満たさない形を列挙して禁止する書き方はしていません。
実務上の帰結は、似たところに落ち着くかもしれません。録画を見せるだけでは、「同時」も「双方向」も満たさないからです。ただ、「原本にそう書いてある」と説明するのと、「条件から考えるとそうなる」と説明するのは別のことです。前者で説明すると、条文を確かめた相手との間で食い違いが生じます。そのため、この記事では原本にある条件のほうを書いています。
条文にあるのは1つだけで、残りは運用要領にあります
もう一段、知っておくと役に立つ構造があります。4つの要件は、同じ強さで同じ場所に置かれているわけではありません。
| 要件 | どこにあるか |
|---|---|
| 同時受講の人数の上限 | 省令の条文(育成就労法施行規則 附則第3条) |
| 目標の水準 | 運用要領 |
| 時間数 | 省令の条文(附則第3条)と運用要領の両方 |
| オンラインの「同時かつ双方向」 | 運用要領 |
省令の条文は、人数と時間数を明示したうえで、残りを「その他日本語教育の適正かつ確実な実施のために適当と認められる方法により行うものに限る」という包括的な言い方で受けています。オンラインの条件は、この「適当と認められる方法」を運用要領が具体化したものです。
ところが、「適当と認められる」を誰がどの基準で判断するかは、条文にも運用要領にも書かれていません。運用要領の4要件がこの包括条項を汲み尽くしているのか、それとも他にも判断の余地があるのかは、原本の文言からは読み取れません。判断に迷う形を検討しているなら、認定の実務を担う外国人育成就労機構に確かめるのが筋です。
いつまでの話か
経過措置の期限は、条文に書かれていません。省令の附則は「当分の間」とだけ述べており、年数の記載はありません。「5年間の経過措置」といった説明を見かけることがありますが、その年数は当社が確認した原本の範囲には見当たりません。
なお運用要領は、日本語講習のモデルカリキュラムが開発中であることにも触れており、公表されればこの領域の実務は動きます。
当社が確認できていないこと
この記事の範囲を、次のとおり明示しておきます。
- 認定日本語教育機関の「就労のための課程」の授業方法。認定基準(省令)の条文を取得できていません
- 運用要領が触れている「特別の日本語教育課程」の扱い。同じ省令の条文が要ります
- 「適当と認められる方法」の判断基準。条文にも運用要領にもありません
- 経過措置の期限。「当分の間」以上の記載がありません
省令を取得できたら、この記事に追記します。
経営者が明日できること
- いま検討している講習が、認定日本語教育機関の課程か、登録日本語教員による経過措置か、2つの経路のどちらなのかを確かめる。条件が違います。
- 経過措置の側なら、目標の水準・時間数・1人あたりの同時受講人数・対面以外のときの実施方法の4つの要件を、相手に質問の形で当てる。
- 「録画で足ります」と言われたら、同時性と双方向性をどう満たすのかを聞く。禁止として書かれてはいませんが、条件は満たす必要があります。
講習をどう調達するかの判断は社内で教えるか外部に任せるかの記事で、時間の確保はシフトの中での時間確保の記事で扱っています。
制度は改正されます。この記事の内容は時点注記の日付時点のもので、実際の判断にあたっては最新の条文と運用要領をご確認ください。
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