日本語教育

日本語教育にかかる時間を、シフトの中でどう確保するか

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日本語教育の計画を立てるところまでは、たいてい進みます。止まるのはその次です。

「やることは分かったのですが、時間が取れなくて」

そうして半年後に、同じ話をもう一度することになります。時間が取れないのは意思が弱いからではなく、空いている時間に置こうとしているからです。空いている時間は、最も教育が必要な人のところから先に消えていきます。

空きを探すのをやめ、先に置いて業務を後ろに寄せます

時間の確保には、二つのやり方しかありません。

一つは、空いたところに置くやり方です。これは「余ったら教える」という意味なので、忙しい職場では実行されません。

もう一つは、先に置いて、業務のほうを後ろに寄せるやり方です。シフト表に先に書き込み、その時間には業務を入れません。抜けた分の業務は、誰かが引き受けるか、その日はやらないことにします。

決めるのは、この二つのどちらを選ぶかだけです。後者を選ぶと、必ず「では誰の時間が減るのか」という問いが出てきます。その問いに答えるのは経営者で、現場の責任者ではありません。ここが決まらないまま現場に降りると、結局は空き時間方式に戻ります。

制度の側から決まっている部分

自由に設計できる部分と、そうでない部分があります。先に、決まっている側を確認します。

育成就労で受け入れる場合、時間数に要件があります

育成就労計画の認定基準として、A1相当講習を100時間以上受講することが求められています(試験に合格していることを示せる場合は、この限りではありません)。これは努力目標ではなく、満たさなければ計画が認定されない要件です。

この要件の性質と、もう一つ別に存在する努力義務との違いは、こちらに整理しました。

→ 日本語教育支援は義務か努力義務か|2つの制度が別々に存在する

育成就労以外の在留資格で雇っている場合、この時間数の要件はかかりません。その場合、どれだけの時間を割くかは会社が決めることになり、決めなければゼロになります。

場所と形の自由度は、思っているより広いようです

認定日本語教育機関の課程については、文部科学省の資料に、就労のための課程と生活のための課程ではオンライン授業を四分の三を上限として実施できる旨、および一定の要件を満たして企業や地方公共団体等と連携して授業を行う場合には校舎以外の場所で恒常的に履修させることができる旨の記述があります。

ここは原本を取得できていない範囲なので、断定は避けます。ただ、「教室に通う形しかない」という前提で時間を考える必要はなさそうだ、という見当はつきます。自社の受け入れ方について具体的に確認する場合は、機関側と所管に直接あたってください。

この二つを合わせると、シフトを組むときの制約は、多くの経営者が想定しているより緩いことになります。通う時間を含めて考えなくてよい場合があるというのは、地方の事業所では特に大きな違いです。

なぜ「空き時間に置く」と流れるのか

理由は三つあり、どれも意思とは関係がありません。

第一に、空きは必要な人から先に消えます。日本語の弱い人ほど、手が足りない持ち場に配置されがちで、結果として、いちばん教育が必要な人のところから空き時間が無くなります。

第二に、疲労の谷に当たります。空いているのは、たいてい早朝か、夜勤の後か、長い中抜けの後です。体が疲れている時間に学習を置くと、同じ時間でも入る量が違い、時間数を満たしても中身が入らないという状態が起きます。

第三に、流れた回の扱いが決まっていません。一度流れると、次にいつやるかが誰の担当でもなくなり、二回流れると、その計画は事実上終わってしまいます。

確保の形、三つ

現場で実際に機能しているのは、次の三つの形です。どれか一つに絞るのではなく、組み合わせて使います。

シフト表に、業務として先に書く

最も効くのがこの形です。「研修」という欄を作るのではなく、業務の一つとして名前をつけてシフトに入れるのがこつです。欄が別にあると、忙しいときに真っ先に消えます。

書き込む単位は、その回で一つのことが終わる長さにします。途中で切れると、次回が前回の復習から始まり、先に進みません。

細切れにしてよいものと、いけないものを分ける

短い時間に分けること自体は悪くありませんが、分けてよいものと、いけないものがあります。

分けてよいのは、覚える量が主になるものです。業務の言葉、掲示の読み、決まった言い方などは、短い時間に何度も触れるほうが、むしろ残ります。

分けてはいけないのは、場面を通しで動かすものです。お客様への対応、異常が起きたときの連絡、引き継ぎなどは、一連の流れを途中で切ると練習になりません。

計画を立てるときは、この二種類を分けて時間割を作ってください。前者は業務の合間に散らし、後者はまとまった時間を先に押さえます。

業務の中に埋め込む

三つめは、教育の時間を増やさずに触れる回数を増やす方法です。

朝礼で今日の言葉を一つ通す、申し送りの様式に書く欄を一つ足す、掲示にふりがなを振って実際に読んでもらう、といったやり方です。いずれも業務そのものなので、シフトの時間を取りません。

ただし、これは前の二つの代わりにはなりません。あくまで回数を稼ぐ手段であって、体系立てて教える時間の代わりにはならないものの、前の二つで確保した時間の効きを何倍にもします。

決めておくべき二つの規則

時間を確保しても、規則が無いと崩れます。先に決めておくものが二つあります。

誰の時間が減るのか

研修の時間を作ると、その分の業務が誰かに移ります。移る先を決めていないと、現場の責任者が自分で吸収することになり、長くは続きません。

決め方は、人を足すか、その日はやらないことを決めるかの二つです。どちらも費用か売上に触れるので、経営者の判断になります。「現場でうまくやってくれ」は、決めていないのと同じです。

流れたときにどうするか

流れること自体は防げないので、決めておくのは流れた後の扱いです。

  • 何回まで流してよいか
  • 流れた回を、いつまでに埋めるか
  • 埋められなかったとき、誰に上げるか

この三つを先に決めておくと、流れても計画が途切れません。決めていなければ、一度流れた時点で終わってしまいます。

時間は費用です。見えているかどうかだけが違う

最後に、費用の見え方について触れておきます。

研修を外部に頼むと、請求書が来ます。金額が見えるので、経営判断の対象になります。一方、社内で時間を割く形では、人件費として既に払っているため、請求書は来ません。

そのため「無料でやっている」ように見えますが、実際には、時間を割いた分だけ確実に費用が発生しています。見えていないだけです。

この非対称が、判断を歪めます。外部委託は「高い」と感じられ、社内対応は「安い」と感じられますが、同じ時間数で比べると、逆になることも珍しくありません。

比べるときは、社内でかかる時間にも人件費を掛けて並べてください。そのうえで、どちらを選ぶかの判断は別に整理しました。

→ 社内で教えるか、外部に任せるか|判断の基準

経営者が明日できること

  • 来月のシフト表を開き、日本語教育の時間が業務として書き込まれているかを見てください。書かれていなければ、それは「空き時間方式」です
  • その時間の分の業務が誰に移るのかを決めて、言葉にします。ここを決めるのは経営者です
  • 流れたときの規則(何回まで/いつまでに/誰に上げるか)を三行で書きます
  • 育成就労で受け入れているなら、時間数の要件を満たす見込みが立っているかを確認します
  • 社内で割いている時間に人件費を掛けて、外部委託の見積もりと同じ表に並べます

時間が取れないという状態は、たいてい先に置いていないという状態です。置き方を変えるだけで、意思の強さに頼らずに続けられます。


この記事で引いた資料

  • 育成就労法施行規則 第13条第2項第7号ヘ、育成就労制度運用要領(A1相当講習100時間以上・試験合格による代替)
  • 文部科学省「就労のための課程・生活のための課程を置く認定日本語教育機関の認定等について」(オンライン授業の上限、校舎以外の場所での履修)

後者は原本を取得できていないため、本文では断定を避けています。制度は改正されます。この記事の内容は時点注記の日付時点のもので、実際の手続きにあたっては最新の条文と要領をご確認ください。


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本記事は2026年9月時点の法令・行政資料に基づきます。

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