費用と手続き

監理支援機関への支払いは、何に対する費用なのか|請求の読み方

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監理を担う法人からの請求を見て、「これは何の費用ですか」と聞けるでしょうか。

聞きにくいのは、払う側に判断の軸が無いからです。相場が分からないので高いか安いかを言えず、名目が分からないので妥当かどうかも言えません。しかし制度の側には、何に対して取ってよいかが種類ごとに決まっているという軸があり、相場を知らなくても、この軸だけで請求は読めます。

原則は「受け取ってはならない」で、取れるものは例外として並んでいる

条文の順序を知っておくと、この仕組みの性格が分かります。

  1. まず、いかなる名義でも手数料や報酬を受けてはならないという禁止が置かれる
  2. そのうえで、例外として、決められた種類・額の費用を、用途と金額を明示したうえで受入企業から取れるとされる

原則は禁止なので、「決まっていないものは取れる」ではなく、「並んでいないものは取れない」と読むことになります。この順序が分かると、聞き方も変わります。「この費用は高いですか」ではなく、「これはどの種類の費用ですか」と聞けばよいのです。

取れる費用は4つに分かれている

種類は次の4つです。

種類 何に対する費用か
職業紹介費 雇用関係の成立のあっせんに関わる事務
講習費 入国前講習・入国後講習の実施
監査指導費 受入企業に対する監査と指導
その他諸経費 上の3つに入らない、適正な実施と保護に資するもの

それぞれに「いつから取れるか」も決まっています。職業紹介費は求人の申込みを受理した時以降、講習費は講習の開始日以降、監査指導費は本人が事業所で働き始めた時以降、その他諸経費は費用が必要になった時以降です。まだ起きていないことに対する費用を、その名目で取ることはできません。

「実費に限る」が、4つ全部にかかっている

4つの種類すべてに、実費に限るという共通の条件があります。

これは「安くしなさい」という意味ではなく、取った額と使った額が一致することが原則だという意味です。上乗せした差額は、名目が何であれ、禁止されている報酬の側に入ります。ここから、実務上いちばん効く帰結が出てきます。

  • 預けた額が、実際に使った額を上回ったら返ってくる。決算後に精算するか、次に預ける額を減らすか、方法は問われませんが、返すことが求められます
  • 返さずに他の用途に使えば、禁止された手数料を受けたものと認められる場合がある

「預けたお金は使い切るもの」という運用になっているなら、それは制度が想定している形ではありません。

料金表は、公表されている

比べるときに役立つ事実がもうひとつあります。

実費は決算などで後から確定する部分があるため、確定前に料金表を定めて、あらかじめ預けてもらうことが認められています。そのうえで、その料金表はインターネットで公表しなければならないとされています。面談の前に見られるので、複数の候補を比べるとき、相手の説明を待たずに材料が手に入るわけです。

公表されている料金表が見つからない場合や、説明された金額と合わない場合は、そこを聞いてください。

お金でない形の便宜も、受け取れない

禁止は金銭に限られていません。事業所や土地を無償または安価に提供するなど、金銭以外の手段で便宜を図ることも認められておらず、「請求書は出ていないから問題ない」ということにはなりません。

送出機関との間でも同じです。本人が送出機関に払った手数料が送出機関を経由して監理を担う法人に流れていれば、実質的に本人から取っているのと変わらないとされます。送出管理費の不必要な払戻しを受けることも同じ側に入ります。出典は育成就労制度運用要領です。

さらに、手数料や報酬という名目でなくても、社会通念上相当と認められる程度を超える金品の供与や接待を受けることは、役職員が個人として受け取る場合も含めて、禁止に触れ得るとされています。

送出機関へ渡る分は、扱いが別になる

職業紹介費には、外国の送出機関へ支払う費用が含まれ、ここには固有の注意があります。

  • 一旦取った送出管理費は、全額を送出機関へ支払う必要がある。本人の途中帰国や行方不明を理由に減額して支払うことはできません
  • 支払う債務が解消されたのに、それに対応する費用を取り続けることはできない

一方で、転籍・途中帰国・行方不明が起きたときにこの部分をどう扱うかは、あらかじめ明示しておくことが望ましいとされています。裏を返せば、決めていないと揉める場所だということなので、契約を結ぶ前に確かめてください。

なお、送出機関が外国で本人から取る手数料は、あっせんに係るものには当たらず、職業紹介費には含まれないとされています。出典は同要領です。本人が負担する分と自社が負担する分は別の話で、本人の側の上限は送出機関への手数料の記事で扱っています。

記録は残ることになっている

費用を取った場合、収支を明らかにするための管理簿を事業所ごとに作って備え置くことが求められています。会計帳簿で代えることはできず、費用の区分を明記して記載する必要があるとされています。

「どの区分でいくら取り、いくら使ったか」は記録されているはずのものなので、説明を求めたときに出てこないなら、そこが手がかりになります。

請求を読むときの順番

  1. この費用はどの種類か。4つのどれにも当てはまらないなら、まずそこを聞きます
  2. もう起きたことに対する費用か。種類ごとに取れる時期が決まっています
  3. 実費か。上乗せがあれば、それは別の性質のものになります
  4. 預けている分は、余ったらどうなるか。返る前提かどうかを確かめます
  5. 公表されている料金表と合っているか

5つとも、相場を知らなくても聞けます。金額の妥当性ではなく、費用の性質を確かめる問いだからです。

経営者が明日できること

  1. 直近の請求書を出して、1行ずつ4つの種類に割り振ってみる。どれにも入らない行が、最初に聞くべきところです。
  2. 相手の料金表がインターネット上にあるか探す。見つからなければ、その所在を聞きます。
  3. 預けている費用があるなら、余った場合の扱いを確かめる。返る前提になっているかどうかで、運用の質が見えます。

この記事は金額の相場を扱っていません。相場は制度が定めるものではなく、時期と相手によって動くからです。扱っているのは動かない側、つまり何に対して取ってよいか、どういう性質の金であるかのほうです。

相手そのものの選び方は監理支援機関の記事で、監理の質を外から点検する仕組みについては外部監査の記事で扱っています。

制度は改正されます。この記事の内容は時点注記の日付時点のもので、実際の手続きにあたっては最新の条文と運用要領をご確認ください。

費用の見方についてのご相談はお問い合わせからどうぞ。

本記事は2026年9月時点の法令・行政資料に基づきます。

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