外部監査人は誰に頼めるのか|選ぶ前に確かめること
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外部監査は、受入企業が直接手配するものではなく、監理を担う法人が置くものです。
では受入企業には関係ないかというと、そうではありません。外部監査がどう運用されているかは、その法人の監理の質をそのまま映します。自社が委ねている監理が、きちんと外から点検されているかどうかの話だからです。この記事では、選ぶ側として何を確かめればよいかという観点から整理します。
外部監査は「あるかないか」ではなく「誰が、どのくらい」を見ます
外部監査は任意の内部統制ではなく、許可の基準の1つです。置いていなければ、そもそも監理を担う法人として許可されません。
そのため「外部監査はありますか」と聞いても、答えは必ず「あります」になります。聞いて意味があるのは、その先の次の点です。
- 誰が就いているのか
- どのくらいの頻度で来ているのか
- 何を見ているのか
制度はこの3つすべてに具体的な要求を置いているので、答えと突き合わせれば形だけかどうかが分かります。
なぜ外部監査が要るのか
理由は、制度の側が書いています。
監理を担う法人は、受入企業に対して指導と監督を行いますが、同時に、その受入企業に人をあっせんした側でもあります。紹介した相手を、自分で監査する構図です。
運用要領は、この構図について「中立的な業務の運営を行うことが難しい側面が存在することも事実です」と書いています。制度が自ら、構造的な難しさを認めた記述です。そのうえで、外部の視点を加えることで中立性を担保しよう、というのが外部監査の位置づけです。
ここを押さえておくと、質問の意味が変わります。「外部監査をどう運用していますか」という問いは、事務手続きの確認にとどまらず、構造的な利益相反にどう向き合っているかを聞く問いになります。
誰が就けるのか
外部監査人には、法人でも個人でも就けます。資格の要件は、次の2つの条件を両方満たすことです。
- 外部監査人向けの講習を、一定期間内に修了していること
- 弁護士・社会保険労務士・行政書士(それぞれの法人を含む)、その他育成就労に関する知見を有する者であること
士業が例示されていますが、「その他育成就労に関する知見を有する者」で開かれているので、士業でなければならないわけではありません。
ただし、講習の修了は外せません。「制度に詳しい知人に頼んでいる」という答えが返ってきたら、講習を修了しているかを確かめる価値があります。
誰が就けないのか
こちらのほうが具体的で、制度は外部監査人になれない人を細かく列挙しています。大きく分けると次のようになります。
- 監理を受けている企業の関係者(役員・職員、および一定期間内にそうだった人)
- その人の配偶者や近い親族
- 監理を担う法人自身の役員・職員(および一定期間内にそうだった人)
- その法人の構成員にあたる事業者の関係者
- 他の監理を担う法人の関係者
- 外国の送出機関の関係者
- 社会生活において密接な関係があり、監査の公正が害されるおそれがあると認められる人
効いているのは最後の項目です。具体的に列挙された関係に当てはまらなくても、公正が害されるおそれがあれば就けません。抜け道を塞ぐための受け皿といえます。
確かめるには、「外部監査人は、御社や受入企業とどういう関係の方ですか」と聞いてください。関係が無いことが要件なので、無いと即答できるのが正常です。
どのくらいの頻度で、何をするのか
頻度は2種類あり、混同されやすいので分けて覚えてください。
ひとつは、定期的な確認です。監理を担う法人の業務が適正に行われているかを、事業所ごとに、三月に一回以上確認します。方法も決まっており、責任者から報告を受けることと、事業所で設備を確認し帳簿書類を閲覧することの両方を行います。
もうひとつは、監査への同行です。監理を担う法人が受入企業を監査する場面に、事業所ごとに、一年に一回以上同行します。
どちらも、結果を書面にして法人に提出します。確かめどころは次の点です。
- 「三月に一回以上」と「一年に一回以上」の両方が回っているか
- 事業所が複数あるなら、事業所ごとに回っているか
- 書面が実際に作られているか
「年に一度来てもらっています」という答えだけなら、定期的な確認のほうが抜けている可能性があります。
受入企業として、何を聞けばよいか
自社が手配するものではないので、聞き方は「確認」になります。
| 聞くこと | 何が分かるか |
|---|---|
| 外部監査人はどなたですか(法人/個人) | 実在を把握しているか |
| 御社や受入企業との関係はありますか | 要件を理解しているか。無いのが正常 |
| どのくらいの頻度で来ていますか | 2種類の頻度が回っているか |
| 監査に同行してもらったのは直近いつですか | 同行のほうが形骸化していないか |
| 報告書は作られていますか | 記録が残っているか |
答えの正しさより、即答できるかどうかを見てください。運用している相手はすぐ答えます。制度の条文を読み上げるだけの相手は、置いているだけの可能性があります。
自社の受入れにどう効くか
外部監査は、自社の現場に直接来るものではありません。しかし、監理が緩んだときにそれを外から止める唯一の仕組みです。
監理が緩むと、現場では次のようなことが起きます。
- 問題が起きても指摘されず、放置されたまま続く
- 記録が形だけになり、後から経緯が追えない
- 受入企業の側が気づいたときには、是正に時間がかかる
監理を委ねても、雇用と育成の責任は自社に残るため、これらは最終的に自社の問題になります(受入れで引き受けることの記事)。外部監査の運用を確かめることは、相手の品定めというより、自社のリスク管理です。
経営者が明日できること
- 付き合っている、あるいは候補に挙がっている相手に、外部監査人が誰かを聞いてください。一度の電話で済みます。
- 即答できたかを記録しておきます。答えの中身より、まずそこが手がかりになります。
- 直近の同行がいつだったかを聞きます。頻度が回っているかどうかは、ここに表れます。
外部監査は、監理を担う法人にとっての許可の基準であり、受入企業にとっては監理の質を映す鏡です。「あるか」ではなく「誰が、どのくらいの頻度で、何を見ているか」を聞いてください。3つとも制度が具体的に定めているので、答えと突き合わせれば形だけかどうかが分かります。
監理を担う法人そのものの選び方は監理支援機関の記事で扱っています。
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