制度

受入れ人数の上限は、何で決まるのか

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「うちは何人まで受け入れられますか」

最初に聞かれることの多い問いですが、常勤職員の数を答えればすぐに返ってくる、という性質のものではありません。上限を定める規定には表が5つあり、どの表が当たるかで、同じ常勤職員数でも答えが変わります。さらに、単独型と監理型とでは、当たる表の候補そのものが違います。

3つの問いで、5つの表のどれかが決まります

上限は規則第19条が定めており、運用要領はこの条を5つの表として書き直しています。どの表が当たるかは、次の3つで決まります。

  1. 単独型か監理型か(単独型と監理型の記事をご覧ください)
  2. 育成就労実施者が優良と認められているか
  3. 住所が指定区域にあるか(監理型では、さらに監理支援機関も優良か)

単独型の場合は、これに加えて「継続安定体制」という関門があります。

出典:育成就労制度運用要領 根拠 対象
表1 規則第19条第1項第1号 単独型(基本)
表2 規則第19条第2項第1号 単独型(継続安定体制あり)・監理型(基本)
表3 規則第19条第1項第2号 単独型で実施者が優良
表4 規則第19条第2項第2号 単独型(継続安定体制あり)・監理型で実施者が優良
表5 規則第19条第2項第3号 上記+指定区域(監理型では監理支援機関も優良)

監理型は第2項にしか出てこないため、監理型に表1と表3は当たりません。監理型の出発点は表2です。

表1と表2は、性質からして違います

まず単独型の基本である表1を見ると、これは区分の表ではなく計算式になっています。

出典:育成就労制度運用要領 表1 基本人数枠
申請者の常勤の職員の総数の20分の3

表には次の注が付いています。

※ 常勤職員が 20 人以上在籍している必要があります。

一方、監理型の基本である表2は、区分の表です。

出典:育成就労制度運用要領 表2 常勤の職員の総数 育成就労外国人の数
301人以上 常勤の職員の総数の20分の3
201人以上300人以下 45人
101人以上200人以下 30人
51人以上100人以下 18人
41人以上50人以下 15人
31人以上40人以下 12人
3人以上30人以下 9人
2人 6人
1人 3人

表2には「20人以上必要」という注がなく、常勤1人の会社でも3人を受け入れられます。表1と表2とでは、小さい会社の扱いが正反対になっているわけです。常勤10人の会社は、単独型の表1では受け入れられませんが、監理型の表2では9人まで受け入れられます。

3人未満なら、0人です

表1に「20人以上」という注が付く理由は、条文に書かれています。

一 申請者の常勤の職員(……)の総数に二十分の三を乗じて得た数(その数が三未満である場合には、零とする。)

運用要領は計算例まで示しています。

例えば、常勤の職員数が 10 人である場合で、育成就労実施者が優良でない場合は、「10×3÷20=1.5」となり、3未満となることから、受入れができません。

10×3÷20=1.5で、3未満なので0人になります。端数を切り上げるのではなく、枠そのものが消えるということです。20×3÷20=3 なので、表1で受け入れるには常勤20人以上が必要です。

なお、この「3未満は0」は、20分の3・10分の3という掛け算の側の話で、表2・表4・表5のような区分の表には及びません。

優良になると、表が入れ替わります

優良と認められると、単独型は表3、監理型は表4に移ります。

表3も計算式で、20分の3が10分の3になり、注も「20人以上」から「10人以上」に変わります。10×3÷10=3 なので、常勤10人からちょうど受け入れられる計算です。これに対して、表4は区分の表です。

出典:育成就労制度運用要領 表4 常勤の職員の総数 育成就労外国人の数
301人以上 常勤の職員の総数の10分の3
201人以上300人以下 90人
101人以上200人以下 60人
51人以上100人以下 36人
41人以上50人以下 30人
31人以上40人以下 24人
6人以上30人以下 18人
5人 15人
4人 12人
3人 10人
2人 7人
1人 4人

表4は、表2の各行をそのまま2倍した表にはなっておらず、区分の切り方が変わっています。表2では「3人以上30人以下→9人」の1行だったところが、表4では「6人以上30人以下→18人」になり、5人・4人・3人がそれぞれ別の行になりました。3人のところも2倍ではなく、表2の9人を2倍すれば18人になるはずが、表4では10人です。

優良の要件そのものは優良な育成就労実施者の記事をご覧ください。

指定区域が加わると、表5になります

表5の条件は、単独型と監理型とで数が違います。

  • 単独型は、実施者が優良であることと、住所が指定区域にあることの2つ
  • 監理型は、実施者が優良であること、監理支援機関も優良であること、住所が指定区域にあることの3つ

監理型だけ条件がひとつ多く、自社が優良でも、監理支援機関が優良でなければ表5には届きません。

しかも、監理型はいま実際には表5に届かない状態です。監理支援機関の側の「優良」は、基準そのものが運用要領にまだ書かれておらず、「追ってお知らせします」という段階にあります。施行日前の申請も、制度施行直後の申請受付も行わないと明記されており、制度施行後の業務の実施状況を見てから評価する、という設計になっています。

単独型で継続安定体制を認められている会社は、この影響を受けません。単独型の表5は、実施者が優良であることと住所が指定区域にあることの2つで足りるためです。

指定区域は、8都府県以外のすべてです

「指定区域」は告示で定めるとされていますが、その中身は運用要領に書かれています。

原則は「8都府県以外の全域」で、除かれるのは東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・愛知県・京都府・大阪府・兵庫県です。この8つ以外の39道府県は、全域が指定区域になります。そのうえで、8都府県の中にも指定区域に含まれる市町村が64あります。

出典:育成就労制度運用要領 指定区域に含まれる市町村
埼玉県 秩父市、ときがわ町、皆野町、長瀞町、小鹿野町、東秩父村、神川町
千葉県 旭市、勝浦市、鴨川市、南房総市、匝瑳市、香取市、山武市、いすみ市、東庄町、九十九里町、長南町、大多喜町、鋸南町
東京都 檜原村、奥多摩町、大島町、新島村、三宅村、八丈町、青ヶ島村
神奈川県 真鶴町
愛知県 新城市、設楽町、東栄町、豊根村
京都府 福知山市、綾部市、宮津市、京丹後市、南丹市、木津川市、笠置町、和束町、南山城村、京丹波町、伊根町、与謝野町
大阪府 豊能町、能勢町、岬町、千早赤阪村
兵庫県 洲本市、豊岡市、丹波篠山市、養父市、丹波市、南あわじ市、朝来市、淡路市、宍粟市、たつの市、多可町、市川町、神河町、佐用町、香美町、新温泉町

判定に使うのは事業所の場所ではなく、法人なら登記簿上の本店の所在地、個人なら住民票上の住所です。複数の法人で共同して行う場合は、全部の法人の住所が指定区域にある必要があります。

出典:育成就労制度運用要領 表5 常勤の職員の総数 育成就労外国人の数
301人以上 常勤の職員の総数の20分の9
201人以上300人以下 135人
101人以上200人以下 90人
51人以上100人以下 54人
41人以上50人以下 45人
31人以上40人以下 36人
9人以上30人以下 27人
8人 24人
7人 21人
6人 19人
5人 16人
4人 13人
3人 11人
2人 8人
1人 5人

20分の9は20分の3の3倍で、135人・90人・54人・36人も表2の3倍になっています。ただし、小さい区分は3倍になっていません。常勤1人なら表2の3人に対して5人、常勤2人なら6人に対して8人で、刻みが細かくなるほど倍率は下がります。

単独型だけにある「継続安定体制」

表2・表4・表5は第2項の表で、単独型がこの3つに届くには「継続安定体制」を認められる必要があります。

これは自動的に付くものではなく、育成就労計画の認定申請のときに、理由書と立証書類を出して認めてもらうものです。認められれば3年間その扱いが続き、期間が過ぎればもう一度確認を受けます。認められる道は2つあります。

出典:育成就労制度運用要領 業種 資本金 常勤職員
①A 製造業・建設業・運輸業・その他 3億円超 301人以上
①B 卸売業 1億円超 101人以上
①C サービス業 5000万円超 101人以上
①D 小売業 5000万円超 51人以上

①は資本金と常勤職員の両方を満たす必要があり、中小企業の定義を裏返した形になっています。①に当たらない場合は②で、次の3つをすべて満たす必要があります。

  • 育成就労外国人の受入れ実績があること
  • 過去1年間の受入れで改善命令を受けたことがないこと
  • 常勤の職員が60名以上在籍していること

②の「60名以上」は①Dの51人以上より高いため、小さい会社が②から入る道は、実質的にありません。

なお、監理型にこの関門はありません。監理型は最初から第2項の表の対象になっています。

数に入る人、入らない人

分母(常勤の職員)と分子(育成就労外国人)のどちらにも、除かれる人がいます。

  • 常勤の職員から除かれるのは、外国にある事業所に所属する常勤の職員、育成就労外国人、技能実習生です
  • 育成就労外国人の数に含めないのは、法第9条の2第4号ただし書に該当するものとして認定を受けた計画に基づく人、育成就労の期間が延長されている人、保護の観点から特別の理由があると認められる人です

経過措置にも注意が必要です。技能実習から移行する局面では、1号技能実習生と2号技能実習生の数が、育成就労外国人の数として計算されます(3号技能実習生は計算しません)。同時にその技能実習生は常勤の職員には含まれないため、分母を増やさずに分子を増やす方向に働きます。

「常勤の職員」は、雇用形態の名前では決まりません

パートだから外す、という基準にはなっておらず、運用要領は就業時間と継続性で線を引いています。

  • 正社員、および正社員と同様の就業時間で継続的に勤務する雇用形態(日給・月給などの給与形態は問わない)
  • 次のどちらかに当たるなら、常勤の職員として扱って差し支えない
    • 所定労働日数が週5日以上かつ年間217日以上で、週所定労働時間が30時間以上
    • 雇用保険の被保険者で、週所定労働時間が30時間以上

派遣労働者は、派遣先と雇用契約を結んでいないため、派遣先の「常勤の職員」にはできません。出向は種類によって分かれ、移籍型出向者は常勤職員として扱えます。

役員は原則として職員ではありません。ただし取締役部長のように、法人から労働の対価として報酬を受けて法人に使用される者は、上の①②に当たれば常勤の職員に含めて差し支えありません。

数えるのは企業全体(法人全体)で、本社・支社・事業所を合わせた数を使い、事業所ごとには算出しません。親会社・子会社等の複数の法人で構成される場合は、全法人の常勤職員を合算します。

当社が確認できていないこと

  • 「指定区域」を定める告示そのものには到達していません。上の一覧は運用要領が書いている内容で、告示が改正されれば、運用要領の記載との間にずれが生じることがあります。自社の市町村名が境目にあるときは、告示そのものをご確認ください
  • 分野によっては、この5つの表が適用されません。規則第19条第3項は、告示で定める特定の分野について、分野所管行政機関の長が別に数を定めるとしています。その告示は未取得です
  • 労働者派遣等の形態で行われる監理型育成就労の人数枠には、別に定めがあります。運用要領は別の箇所を参照するよう指示していますが、当社はそこを取得できていません
  • 運用要領は、どの表が当たるかの一覧表も載せています(原本4-109)。この表はテキストとして読み出すと配置が崩れるため、当社は条文と各表の適用条件から組み直して内容を確かめました。この記事の適用条件は、一覧表ではなく条文と各表の見出しを根拠にしています
  • 「優良」と認められるための配点そのものは、この記事では扱っておらず、人数枠の話に絞っています

経営者が明日できること

  1. 自社がどの型かを先に確かめる。監理型なら表1と表3は最初から関係がなく、出発点は表2です。
  2. 常勤の職員の数を、除かれる人を引いた数で出し直す。海外事業所の職員と育成就労外国人は入りません。
  3. 単独型なら、継続安定体制の認定を取るかどうかを判断する。ここを通らなければ表1か表3のままで、常勤20人(優良なら10人)の壁が残ります。
  4. 監理型で表5を狙うなら、監理支援機関の優良性を先に確認する。自社だけが優良でも届きません。

上限は「何人まで置けるか」を示すもので、「何人まで育てられるか」を示すものではありません。枠いっぱいに受け入れて指導が回らなくなれば、転籍や認定の取消しという形で跳ね返ってきます。転籍を前提にした設計の記事もあわせてご覧ください。

制度は改正されます。この記事の内容は時点注記の日付時点のもので、実際の判断にあたっては最新の条文と運用要領、および分野別運用方針をご確認ください。

受入れ体制のご相談はお問い合わせからどうぞ。

本記事は2026年9月時点の法令・行政資料に基づきます。

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