いま技能実習生を受け入れている企業は、何をすればよいか
TalkJPN for Business
「いまの技能実習生は、そのまま育成就労に切り替わりますか」
答えは、切り替わりません。新しい計画を作って、認定を受けることになります。また、人によっては移ることができず、出国が必要になる場合もあります。
先に確かめるのは、3つです
- その人が技能実習を終えるのは、施行日(令和9年4月1日)より前か、後か
- 技能実習でやっていたことに、育成就労の側の受け皿があるか
- 技能実習の期間が、育成就労の3年に通算されるか
以下、この3点について原本の定めを確認します。
技能実習の期間は、育成就労の期間として数えられます
条文は、2つのみなしを置いています。
改正法附則第十一条 技能実習を行っていた期間を有する外国人(以下この条において「旧技能実習生」という。)を育成就労……の対象とする育成就労計画……の認定に関する育成就労法の規定の適用については、旧技能実習生は育成就労法第八条の六第一項に規定する育成就労の対象でなくなった外国人と、技能実習を行っていた期間は育成就労の対象となっていた期間とみなす。
| 出典:改正法附則第11条第1項 | みなされるもの | みなされ先 |
|---|---|---|
| 旧技能実習生 | 育成就労の対象でなくなった外国人 | |
| 技能実習を行っていた期間 | 育成就労の対象となっていた期間 |
育成就労の期間は3年が上限です。技能実習で2年やっていた人であれば、育成就労で使えるのは残り1年になります。「新しく3年」使えるわけではなく、ここを取り違えると要員計画がまるごとずれてしまいます。
ただし、通算しない場合もあります
省令は、通算しない場合を2つ挙げています。どちらも、育成就労の側に受け皿が無い場合です。
| 出典:整備省令第5条第1項 | どういう場合か |
|---|---|
| 1つめ | 従前の技能実習の目標だった技能検定・技能実習評価試験と同一または相当する試験が、育成就労評価試験として指定されていない |
| 2つめ | 従前の技能実習の内容に係る技能等が移行対象職種・作業に係るものでなく、かつその技能が育成就労産業分野に属する技能と同一または相当でない |
この場合は、技能実習の期間を考慮せずに育成就労を行わせることができ、新しく3年を使えることになります。
ただし、どちらに当たるかは自社では判定できません。対応関係は分野ごとに別途示されることになっており、いまはまだ示されていないためです(後述)。
申請の根拠条文と様式が、3つに分かれます
| 出典:育成就労制度運用要領 | どういう人か | 根拠 | 様式 |
|---|---|---|---|
| 基本 | 技能実習の期間を通算する | 法第8条の6第1項 | 省令様式第3号(1) |
| 例外 | 対応する試験が分野別運用方針に無い等 | 法第8条第1項 | 省令様式第1号 |
| 出国が要る人 | 施行日以後も技能実習を続けていた | 法第8条の6第1項 | 省令様式第3号(2) |
原本は「基本的に」と書いており、通算する側が原則で、考慮しない側が例外という位置づけです。
施行日以後も技能実習を続けていた人は、出国しない限り移れません
実務でいちばん影響が大きいのは、この定めです。
○ もっとも、技能実習生であった者が、改正法附則第9条の規定により、令和9年4月1日以降に技能実習を行っていた者である場合は、出国(再入国許可を受けて出国している場合を除きます。ただし、再入国許可を受けている場合であっても、出国中に再入国許可が失効している場合は含みます。)しない限り育成就労を行うことはできません
| 状態 | 育成就労に移れるか |
|---|---|
| 施行日より前に技能実習を終えている | 移れる(期間は通算される) |
| 施行日以後も技能実習を続けていた | 出国しない限り移れない |
| 施行日以後も続けていたが、再入国許可を受けて出国している | 移れない(その出国は出国に当たらない) |
| 再入国許可を受けていたが、出国中に許可が失効した | 移れる(出国に当たる) |
一時帰国では条件を満たせません。再入国許可を受けて出ている限り、「出国した」とは扱われないためです。
これは計画の問題というより、人の予定の問題です。帰国の時期と費用、その間の欠員をどうするかを、いまのうちに決めておかないと動けなくなります。
人数枠の数え方も、移行期は変わります
在籍している技能実習生は、育成就労の人数枠にも影響します。
| 出典:育成就労制度運用要領 | 育成就労外国人の数に算入 | 常勤の職員に算入 |
|---|---|---|
| 1号技能実習生・2号技能実習生 | する | しない |
| 3号技能実習生 | しない | しない |
この扱いは、分母を増やさずに分子を増やす方向に働きます。技能実習生を抱えたまま育成就労を始めるのであれば、枠の計算をやり直してください。人数枠の決まり方は受入れ人数の上限の記事で扱っています。
申請はいつ出すのか
育成就労計画の認定申請は、施行日の前から受け付けられます。
※ 育成就労法の施行後早期に育成就労を開始することを希望する実施者のために、施行日(令和9年4月1日)の前から育成就労計画の認定申請(以下「施行日前申請」という。)を受け付けます。施行日前申請においては、審査に要する時間等を考慮し、原則として育成就労開始予定日の7か月前から5か月前までに申請を行ってください。
原則は、育成就労開始予定日の7か月前から5か月前までです。逆算すると、施行日に開始したい場合は、その5か月前には申請が必要になります。
受付の開始日は原本に書かれておらず、「詳細は別途お知らせします」という段階です。
監理型で受け入れるなら、相手側の準備も必要です。監理支援機関の許可も施行日前に申請でき、こちらも「詳細については別途案内することとしています」という段階にあります。許可は取り直しになるため、監理団体はそのまま監理支援機関になれるのかの記事もあわせてご覧ください。
当社が確認できていないこと
- 技能実習の目標試験と育成就労の目標試験の対応関係は、原本にありません。「別途、育成就労産業分野ごとに示すこととします」という段階です(出典:育成就労制度運用要領)。通算されるのか、新しく3年使えるのかは、これが出るまで自社では判定できません
- 施行日前申請の受付開始日も、原本にありません。「詳細は別途お知らせします」で終わっています
- 移行対象職種・作業の一覧は技能実習法施行規則の側にあり、当社は取得できていません
- 技能実習と育成就労の制度そのものの対比は、この記事では扱っていません。技能実習法の原本を取得できていないためです
- 読替後の条文の全文は引いていません。改正法附則第11条第3項が法第8条の6と第9条の3を読み替えており、その全文は原本にあります
経営者が明日できること
- 在籍している技能実習生を、技能実習の終了予定日の順に並べてください。施行日(令和9年4月1日)の前か後かで、取れる手が変わります。
- 施行日以後にまたがる人を数えてください。その人数分、出国の予定と費用と欠員を考えることになります。
- 技能実習の目標試験が何だったかを、計画から書き出しておいてください。対応関係が示されたときに、すぐ当てはめられます。
- 人数枠を計算し直してください。1号・2号の技能実習生は育成就労外国人の数に入り、常勤の職員には入りません。
- 育成就労を始めたい日を決め、その5か月前を申請の締切として置いてください。
「そのまま切り替わる」という前提で組んだ計画は、作り直しになります。とくに大きく効くのは、期間が通算されることと、人によっては出国が要ることの2つです。
制度は改正されます。この記事の内容は時点注記の日付時点のもので、実際の判断にあたっては最新の条文と運用要領、および分野別運用方針をご確認ください。
この記事で引いた原本
- 改正法附則第11条第1項(旧技能実習生と技能実習の期間のみなし)
- 整備省令第5条第1項(技能実習の期間を考慮しない2つの場合)
- 育成就労制度運用要領(申請の根拠条文と様式、施行日以後も技能実習を続けていた場合の出国の要否、確認対象の書類、対応関係が別途示されること、施行日前申請、監理支援機関の許可の有効期間)
- 育成就労法施行規則 附則第6条、同 第19条第4項(人数枠における技能実習生の扱い)
いずれも法令の原本および制度の運用要領から引用しています。制度は改正されます。実際の手続きにあたっては、最新の条文と要領をご確認ください。
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