監理団体は、そのまま監理支援機関になれるのか
TalkJPN for Business
「いま付き合っている監理団体は、そのまま監理支援機関になりますよね」
この確認を取らないまま準備を進めている会社があります。答えは「なりません」です。しかも、これは相手の問題では終わりません。取引先が許可を取れなければ、自社の受入れが止まります。
許可は引き継がれません。取り直しです
この点は運用要領が正面から書いています。
なお、技能実習制度において監理団体の許可を受けていた団体が育成就労制度下で監理支援事業を行う場合には、別途、監理支援事業の許可を受けなければ監理支援事業を行うことはできません
「別途」「受けなければ……できません」とあるとおり、技能実習制度で監理団体の許可を受けていたことは、育成就労制度では効きません。
ただし、団体そのものが監理支援機関になれないという意味ではありません。申請して基準を満たし、許可を受ければなれます。引き継がれないのは、あくまで許可のほうです。
逆向きには引き継がれます
同じ一文の後半には、逆向きの話が書かれています。
育成就労法の施行日以後に監理支援事業の許可を受けた場合は、技能実習法に基づく一般監理事業の許可を受けたものとみなされ、監理団体として活動することも可能です
法律の側にも規定があります。
第十三条(監理支援事業の許可に係る特例) 施行日以後に育成就労法第二十三条第一項の許可を受けた者は、一般監理事業(技能実習法第二十三条第一項第一号に規定する一般監理事業をいう。以下この条において同じ。)に係る許可を受けたものとみなし、附則第九条の規定によりなお従前の例によることとされた技能実習に係る一般監理事業を行うことができるものとする。
新しい許可を取れば古い制度の側も動かせますが、古い許可で新しい制度を動かすことはできません。一方通行になっています。
経過措置で残っている技能実習を抱えたまま育成就労を始める場面では、この向きが効いてきます。監理支援機関の許可を1つ取れば、両方を監理できます。
許可は6段階を踏みます
許可は、申請してすぐに出るものではありません。
| 出典:育成就労制度運用要領 | 誰が | 何を |
|---|---|---|
| ① 許可申請 | 監理支援事業を行おうとする者 | 機構本部事務所の審査課へ(郵送または窓口持参) |
| ② 事前調査の実施 | 機構 | 申請書類の内容を確認するための調査 |
| ③ 申請書類・調査結果の送付 | 機構 | 法務省・厚生労働省へ |
| ④ 内容確認 | 法務省・厚生労働省 | 機構の調査結果をもとに確認 |
| ⑤ 労働政策審議会への意見聴取 | 厚生労働省 | 審議会に意見を聴く |
| ⑥ 許可証の発行 | 主務大臣 → 機構 → 申請者 | 主務大臣名の許可証が機構を介して交付される |
特徴は⑤が入っていることで、行政の内部だけでは完結せず、労働政策審議会の意見聴取を経ます。原本は、申請の時期についても目安を置いています。
育成就労外国人と育成就労実施者との間の雇用関係の成立のあっせん等の監理支援事業を行う予定の3か月前までに申請を行うことが推奨されます(なお、申請書類や添付書類に不備などがある場合はそれ以上の期間を要することがあります。)。
目安は3か月前までで、不備があればそれ以上かかることを原本自身が書いています。
受入企業の側で何が起きるか
受入企業にとって本当に問題になるのは、ここからです。監理を委ねている相手が許可を取れなければ、監理型の受入れは続きません。人はすでに働いていて、生活もそこにあるので、相手の準備が遅れているというだけでは済みません。
確かめるべきことは3つです。
- 申請したか。まだなら、いつ出すか
- 申請した日はいつか。事業開始予定の3か月前を切っていないか
- 不備で差し戻されていないか
「大丈夫です」という答えだけでは足りないので、段階のどこにいるかを聞いてください。上の①〜⑥のどこまで進んだか、という形で聞けば、相手も答えられるはずです。
あわせて、取れなかったときの代わりをいまのうちに考えておきます。これは相手を疑う話ではなく、人を雇っている側の責任の話です。
監理団体で積んだものが、まったく無駄になるわけではありません
許可は取り直しですが、人については経過措置があります。監理支援機関は、事業所ごとに監理支援責任者を選任する必要があり、この人には次の3つが求められます。
| 出典:育成就労制度運用要領 | 条件 |
|---|---|
| ① | 監理支援機関の常勤の役員または職員である |
| ② | その事業所に所属し、監理支援責任者の業務を適正に遂行する能力を有する |
| ③ | 過去3年以内に監理支援責任者に対する講習(主務大臣が告示で定めるもの)を修了している |
このうち③の講習について、経過措置があります。
※ 経過措置として、育成就労法施行前に技能実習制度における監理責任者等講習を受講した者も監理支援責任者に選任することができます。(規則附則第4条)。
技能実習制度で監理責任者等講習を受けていた人は、そのまま選任できます。許可は取り直しでも、人の資格は橋渡しされているということです。
ただし、人を使い回すことはできません。事業所が複数ある監理支援機関では、同じ人を複数の事業所の監理支援責任者にすることはできません(常勤する事業所の業務を適時適切に行っていることを前提に、リモートワーク等で他の事業所の業務に一部従事することは妨げないとされています)。
利益相反があるときは、もう1人必要になります。監理支援責任者が、監理支援先の育成就労実施者やその役職員でもある場合、その人はその実施者への監理支援に関与できません。結果として、その事業所に監理支援責任者を複数選任することになります。
「優良な監理支援機関を選べばいい」は、当面は成り立ちません
監理支援機関にも「優良」の区分がありますが、いまの時点で優良とされている機関はありません。
○ 優良な監理支援機関の認定については、制度施行後の一定期間の業務の実施状況等に基づき評価を行いますので、施行日前申請及び制度施行直後の申請受付は行いません。優良な監理支援機関の基準の詳細等については、追って本運用要領にてお知らせします。
基準そのものがまだ書かれておらず、施行日前の申請も、制度施行直後の申請受付も行われません。そのため、制度開始直後に「優良な監理支援機関かどうか」で相手を選ぶことはできません。何で選ぶかは監理支援機関を選ぶときの記事をご覧ください。
この影響は人数枠にも及びます。監理型で最大の枠(表5)に届くには監理支援機関も優良であることが要件ですが、その優良が存在しない以上、監理型が制度開始直後に表5へ届く道はありません。詳しくは受入れ人数の上限の記事で扱っています。
当社が確認できていないこと
- 許可申請の書類の中身は、この記事では扱っていません。申請書の記載事項と添付書類は原本の別の箇所にあり、当社は抽出できていません
- 監理支援機関の許可の欠格事由(法第26条)も未抽出です。過去の違反がどう効くかは、この記事では書けません
- 監理支援責任者に対する講習を定める告示は未取得です。運用要領は「主務大臣が告示で定めるもの」としか書いていません
- 許可の審査にどれだけかかるかは、原本に書かれていません。「3か月前までが推奨」という目安だけです
- 優良な監理支援機関の基準は、原本にまだ存在しません
経営者が明日できること
- 取引先に「監理支援事業の許可を申請しましたか」と聞いてください。「大丈夫です」で終わらせず、①〜⑥のどこまで進んだかを確かめます。
- 申請日を聞き、事業開始予定の3か月前を切っていないか確かめます。切っているなら、不備で差し戻された場合に間に合いません。
- 監理支援責任者に誰を予定しているかを聞きます。事業所ごとに1人必要で、自社の役職員が兼ねるなら、その事業所にもう1人必要になります。
- 取れなかったときの代わりを、いま1つ考えておきます。人はすでに働いています。
許可の取り直しは、相手の事務手続きに見えるかもしれません。しかし監理型で受け入れている会社にとっては、自社の受入れが続くかどうかの話です。相手任せにせず、段階を聞いてください。
制度は改正されます。この記事の内容は時点注記の日付時点のもので、実際の判断にあたっては最新の条文と運用要領をご確認ください。
この記事で引いた原本
- 育成就労制度運用要領(監理団体の許可は引き継がれないこと、許可の流れ①〜⑥、3か月前の推奨、監理支援責任者の①〜③と経過措置・兼任の可否・利益相反、優良な監理支援機関の基準が未公表であること)
- 育成就労法 附則第13条(監理支援事業の許可に係る特例)
- 育成就労法施行規則 第69条(監理支援責任者)、同 附則第4条(講習の経過措置)
いずれも法令の原本および制度の運用要領から引用しています。制度は改正されますので、実際の手続きにあたっては最新の条文と要領をご確認ください。
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