【2027年4月廃止】外国人技能実習制度から育成就労制度への移行で企業が知っておくべき重要変更点
制度廃止・移行の全体像
外国人技能実習制度は2027年4月1日をもって廃止され、新たに「育成就労制度」へと移行することが決定しています。この変更は単なる名称変更ではなく、従来の「国際貢献」を主目的とした制度から「人材育成と確保」を明確な目的とした、根本的な政策転換となります。
移行期間として3年間が設けられており、現在技能実習生を受け入れている企業様は、段階的な準備が可能です。2026年1月7日に法務省で開催された第13回有識者会議では、令和10年度末(2028年度末)までの5年間で外国人材123万人受け入れの見込みが示されており、外国人労働者への依存度がより一層高まることが予想されます。
育成就労制度の主要な変更点
対象分野の大幅縮小
最も大きな変更の一つが対象分野の見直しです。現行の技能実習制度では90分野が対象でしたが、育成就労制度では特定技能制度の16分野と原則一致させる方針となっています。
主な対象分野には、介護、建設、製造業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、宿泊業などが含まれます。現在技能実習生を受け入れている企業様は、自社の業種が新制度でも対象となるかを早急に確認することをお勧めします。
育成就労計画の義務化
新制度では、外国人ごとに3年間の「育成就労計画」の作成・認定が義務化されます。この計画は外国人育成就労機構が監督し、計画と実態に乖離がある場合は是正指導や認定取消しの対象となる可能性があります。
企業様には、より具体的で実現可能な人材育成計画の策定が求められ、従来の形式的な対応では済まなくなることが予想されます。
日本語能力要件の明確化
育成就労制度では、日本語能力A2相当以上の試験合格が要件として設定されます。A2レベルは「日常生活での基本的なコミュニケーションが可能」なレベルに相当し、現行制度よりも高い日本語能力が求められます。
転籍(転職)制度の導入
従来の技能実習制度では原則として転職が認められていませんでしたが、育成就労制度では一定の要件のもとで転籍(転職)が可能になります。ただし、地方への配慮から当初2年間は転籍に上限が設けられる予定です。
分野別受け入れ見込み数
2028年度末までの主要分野別受け入れ見込み数は以下の通りです:
- 工業製品製造業:173,300人
- 介護:135,000人
- 建設:80,000人
- ビルクリーニング:37,000人
これらの数字からも、製造業と介護分野での需要が特に高いことが分かります。
特定技能制度との連携強化
育成就労制度は特定技能制度との連携がより密接になります。育成就労修了後は特定技能1号(通算5年)、さらに特定技能2号(制限なし・家族帯同可)への移行がスムーズに行えるよう設計されています。
技能実習2号修了者は特定技能1号への移行時に試験が免除されるため、長期的な人材確保戦略として非常に有効です。また、新たに倉庫管理、リネンサプライ、廃棄物処理分野の追加も予定されており、対象業種の拡大も期待できます。
企業が今から準備すべきこと
1. 対象分野の確認
自社の業種が新制度の対象分野に含まれるかを確認し、含まれない場合は代替案を検討する必要があります。
2. 育成計画の策定準備
3年間の具体的な人材育成計画を策定できる体制を整備しましょう。単なる労働力としてではなく、技能向上を目的とした計画が求められます。
3. 日本語教育体制の強化
A2レベル以上の日本語能力要件に対応するため、社内の日本語教育体制を見直し、必要に応じて外部の日本語教育サービスの活用を検討してください。
4. 労働条件の見直し
新制度では労働条件管理がより厳格化されます。適正な労働条件の確保と、転籍制度導入に伴う人材流出リスクへの対策を検討する必要があります。
5. 支援機関との関係見直し
登録支援機関の要件も厳格化される予定です。現在利用している支援機関が新制度に対応できるかを確認し、必要に応じて見直しを行いましょう。
まとめ
外国人技能実習制度から育成就労制度への移行は、単なる制度変更ではなく、外国人労働者との関わり方を根本的に見直す機会でもあります。2027年4月の施行まで約1年という限られた時間の中で、企業様には戦略的な準備が求められます。
新制度は確かに要件が厳格化される面もありますが、一方で特定技能制度との連携強化により、長期的な人材確保がより容易になるというメリットもあります。早めの準備と適切な対応により、新制度を人材戦略の重要な柱として活用していただければと思います。