【2027年4月実施】技能実習制度から「育成就労制度」へ移行~企業の準備すべき5つのポイント
技能実習制度の大転換期が到来
外国人技能実習制度が2027年4月1日をもって廃止され、新たに「外国人育成就労制度」(以下、育成就労制度)がスタートすることが正式決定されました。この制度変更は、長年指摘されてきた技能実習制度の構造的問題を抜本的に見直すもので、外国人労働者を雇用する企業にとって重要な転換点となります。
現在、技能実習生は約47万人(令和6年10月末時点)に達し、外国人労働者の約20%を占める重要な戦力となっています。特に建設業では25.1%が最多を占めており、労働力不足の解決策として欠かせない存在です。
新制度への移行で何が変わるのか
制度の目的が根本的に変更
最も大きな変更点は、制度の目的そのものです。従来の技能実習制度が「技術移転による国際貢献」を建前としていたのに対し、育成就労制度では**「人材育成・確保」を明確な目的**として位置づけます。これにより、日本企業の長期的な人材確保ニーズにより適合した制度となります。
転籍(転職)制限の大幅緩和
現行制度では原則禁止されている転籍が、新制度では1年以上の就労経験と一定の日本語能力を条件に許可されるようになります。ただし、ハローワークを通じた手続きが義務化されるため、企業側は人材の定着により一層の努力が求められます。
監督体制の強化と透明化
新制度では外部監査人の設置が義務化され、登録支援機関には支援実績の開示が求められます。また、賃金不払いなどの不正行為に対する厳罰化も進められ、より健全な雇用環境の構築が目指されています。
日本語教育が完全義務化
具体的な習得目標の設定
新制度では、**入国時A1レベル(N5相当)から3年終了時A2レベル(N4相当)**への日本語能力向上が必須となります。企業は育成就労計画書に日本語教育の具体的内容を明記し、定期的な評価も実施する必要があります。
企業に求められる支援体制
日本語教育は単なる語学研修にとどまらず、職場でのコミュニケーション能力向上と生活支援を連動させたものになります。オンライン研修と対面研修の組み合わせ、職場でのOJTによる実践的な指導など、多角的なアプローチが求められます。
特定技能制度との連動強化
育成就労制度の大きな特徴は、3年間の就労期間終了後、技能試験に合格すれば「特定技能1号」への円滑な移行が可能になることです。これにより、企業は最大8年間(育成就労3年+特定技能1号5年)にわたって同一人材を雇用できる道筋が整います。
2023年のデータでは、日本語能力の向上が技能実習生の定着率向上に大きく寄与することが確認されており、新制度における日本語教育の義務化は、企業の人材確保戦略にとってもプラスに働くと期待されています。
企業が準備すべき5つのポイント
1. 日本語教育体制の整備
育成就労計画書の作成に向けて、社内外の日本語教育リソースを整理し、効果的な学習プログラムを構築しましょう。登録支援機関との連携も重要です。
2. 人材定着戦略の見直し
転籍制限の緩和により、他社への転職リスクが高まります。労働条件の改善、キャリアパスの明確化、職場環境の向上など、総合的な定着戦略を検討してください。
3. 監査・コンプライアンス体制の強化
外部監査への対応準備として、労務管理の透明化、適正な賃金支払い体制、安全衛生管理の徹底を図りましょう。
4. 特定技能への移行計画策定
3年後の特定技能移行を見据えた長期的な人材育成計画を策定し、技能試験対策も含めた支援体制を整備してください。
5. 制度移行期間の対応準備
2027年4月の制度開始に向けて、現在の技能実習生の処遇、新制度での受入準備など、移行期間中の具体的な対応計画を立案しましょう。
まとめ
外国人技能実習制度から育成就労制度への移行は、単なる制度名の変更ではありません。人材の確保と育成を明確な目的とし、外国人労働者の権利保護と企業の長期的な人材戦略を両立させる、より実効性の高い制度への転換です。
企業の人事担当者の皆様には、この機会を活かして外国人雇用戦略を再構築し、持続可能な人材確保体制の構築に取り組んでいただくことをお勧めします。制度の詳細については、厚生労働省や法務省の最新情報を定期的にご確認いただき、必要に応じて専門機関にご相談ください。