事例紹介

技能実習生受け入れで成功する企業の共通点とは?8社の具体的事例から学ぶベストプラクティス

2026/5/20
#技能実習生#成功事例#人材育成#外国人雇用#制度改正
技能実習生の受け入れに成功している8社の事例を分析し、成功企業に共通する5つのポイントを解説します。単なる労働力確保ではなく、将来を見据えた人材育成の視点が重要です。

成功企業の具体的事例:業界を問わず活躍する技能実習生たち

技能実習生の受け入れを検討される企業にとって、実際に成功している企業の事例は貴重な指針となります。ここでは、製造業から介護、農業まで幅広い分野で成功している8社の事例をご紹介し、共通する成功要因を分析します。

製造業での成功事例

**フルヤ工業株式会社(兵庫県)**は、2003年にベトナム人技能実習生2名を初めて受け入れてから約20年間で、受け入れ規模を約30名まで拡大させました。同社の特筆すべき点は、実習生を単なる労働力として扱わず、将来の中核人材として育成している点です。2008年にはベトナム人技術者を正社員として採用し、実習生の相談役や生活支援を担当させ、2017年には金型設計ができるベトナム人エンジニアを開発部門の中核人材として正社員採用しています。

海外展開を見据えた取り組みでは、株式会社新栄精器フジ矢株式会社の事例が注目されます。両社とも帰国した元技能実習生を中心にベトナム工場を設立し、現地での生産拡大や第三国への輸出に成功しています。これらの事例は、技能実習生を「一時的な人材」ではなく、将来の海外展開の担い手として位置付けることの重要性を示しています。

介護分野での段階的育成アプローチ

学研ココファン(大阪市)では、2017年からベトナム人留学生をアルバイトとして受け入れ、当初は業務を限定していましたが、実際の能力を見極めながら徐々に介助業務まで担当範囲を拡大しました。この段階的なアプローチにより、本人のモチベーション向上と離職率低下を実現しています。

大手企業の株式会社ベネッセスタイルケアは、特定技能制度創設直後から採用を開始し、自社支援体制を整えることで外国人材の定着に成功しています。

農業・建設分野での実践的活用

有限会社高儀農場では、技能実習修了生の雇用により、繁忙期の作業改善や作物管理・出荷段取りの精度向上を実現しています。実習で身につけた技術を現場の改善に直接活用できる好例です。

建設関連の株式会社東京志村は、1996年から外国人受け入れを開始し、現在は社員20名中8名が中国出身者となっています。長期間の受け入れ実績により、外国人材が職場の自然な一部として定着している状態を実現しています。

成功企業に共通する5つのポイント

1. 明確な受け入れ目的の設定

成功している企業は、「人手不足解消」という短期的な目的だけでなく、技術継承、将来の中核人材育成、海外展開の布石といった中長期的な目的を持って受け入れを行っています。この明確な目的意識が、実習生への投資や支援の質を向上させています。

2. 日本語・生活支援の重視

定着率の高い企業では、日本語教育の支援、相談役となる先輩外国人材の配置、住居や生活面のフォローを組織的に行っています。フルヤ工業のように、同国出身の正社員を相談役として配置することで、言語面だけでなく文化的な違いへの対応も可能になります。

3. 段階的な業務拡大

学研ココファンの事例が示すように、最初から過度な期待をせず、実習生の習熟度に応じて段階的に業務範囲を広げるアプローチが効果的です。これにより、実習生の自信向上と着実なスキルアップを両立できます。

4. 明確なキャリアパスの提示

成功企業では「技能実習→特定技能→正社員」や「帰国後の現地法人での活躍」といった、実習後のキャリアパスを具体的に示しています。将来への希望が見える環境は、実習生のモチベーション向上と定着率改善に直結します。

5. 組織的な受け入れ体制の構築

現場任せにせず、受け入れ担当者や通訳、先輩社員が連携して、制度理解、教育、評価を会社として仕組み化している点も重要な共通点です。個人の善意に頼らず、組織的な支援体制を構築することが継続的な成功につながります。

実践的なアドバイス:受け入れ時の注意点

成功事例から学ぶ一方で、受け入れ時には以下の点に注意が必要です。

労務管理の適正化は最優先事項です。技能実習生を通常の低賃金労働力として扱うことは制度の趣旨に反するだけでなく、長期的な関係構築を阻害します。

日本語レベルの事前確認と継続的な日本語教育支援も重要です。業務遂行だけでなく、安全面や職場コミュニケーションの観点からも、適切な日本語能力の確保は不可欠です。

宗教・文化への配慮も忘れてはいけません。食事や休憩時間、宗教的行事への配慮により、実習生が安心して働ける環境を整備することが定着率向上につながります。

送り出し機関・監理団体の慎重な選定も成功の鍵となります。信頼できるパートナーとの連携により、質の高い人材の確保と適切なサポート体制を構築できます。

制度変更への対応準備

技能実習制度は現在見直しが進んでおり、今後は育成就労制度への移行が予定されています。この制度変更を踏まえ、企業側は日本語教育・定着支援・キャリア形成を前提とした受け入れ設計がより重要になります。

成功事例から学べることは、技能実習生の受け入れは単なる労働力確保ではなく、人材育成と組織の国際化を同時に実現する投資だということです。適切な準備と継続的な支援により、企業と実習生双方にとって価値のある関係を築くことが可能です。