制度改正

介護分野の外国人人材育成:2040年57万人不足に備える戦略的採用と育成体制

2026/1/16
#介護分野#外国人材育成#特定技能#日本語教育#メンター制度
2040年には介護職員が約57万人不足する中、外国人人材の戦略的な育成が急務となっています。特定技能制度を中心とした4つの受け入れ制度と、日本語教育・メンター制度・生活サポートを軸とした効果的な育成手法を解説します。

深刻化する介護人材不足と外国人材への期待

日本の介護業界は、前例のない人材不足の危機に直面しています。2040年には介護職員が約57万人不足するという厚生労働省の推計が示すように、この問題は年々深刻化しており、外国人人材の戦略的な活用と育成が業界全体の持続可能性を左右する重要な要素となっています。

人事担当者の皆様にとって、外国人介護人材の育成は単なる人手不足の補完策ではなく、組織の長期的な成長戦略の核心部分として位置づける必要があります。適切な育成体制を構築することで、外国人材が貴重な戦力として定着し、介護サービスの質向上にも寄与することが可能です。

外国人介護人材の受け入れ制度の全体像

現在、介護分野で外国人人材を受け入れるための制度は4つ存在します。それぞれの特徴を理解し、自社のニーズに最適な制度を選択することが重要です。

特定技能制度は現在最も普及している制度で、技能水準と日本語能力水準を試験で確認された外国人を最大5年間雇用することができます。特に注目すべき点は、5年後に介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して永続的に働くことが可能になることです。インドネシア、フィリピン、ベトナムからの受け入れが可能で、4年以内に介護福祉士試験への合格を目指すことになります。

その他の選択肢として、2017年に開始された在留資格「介護」、従来からの技能実習制度、EPA(経済連携協定)があります。さらに2025年には、技能実習制度を抜本的に見直した育成就労制度が創設される予定で、より人材育成・確保に特化した仕組みが整備されます。

成功の鍵を握る3つの育成支援体制

外国人介護人材の定着と成長を実現するには、多面的かつ継続的な支援体制の構築が不可欠です。以下の3つの柱を中心とした育成戦略をご提案します。

日本語教育の継続的実施

日本語教育は最優先課題であり、採用後の継続的な学習支援が成功の分かれ道となります。特定技能試験対策から始まり、介護現場で実際に使用される専門用語や表現を含む業界別日本語研修の実施が効果的です。

近年注目されているのは、オンライン学習ツールの積極的な活用です。勤務シフトに合わせた柔軟な学習スケジュールを組むことで、業務と学習の両立を支援できます。また、日本語能力の向上段階に応じた目標設定と達成度の見える化により、学習へのモチベーション維持も図れます。

メンター制度とOJTの仕組み化

信頼できる指導者の存在により、外国人介護士が安心して学べる環境が実現し、専門スキルの習得がスムーズに進みます。メンター制度の導入においては、単に経験豊富なスタッフを割り当てるだけでなく、OJT(実地研修)の計画を作成して成長の段階を見える化することが重要です。

具体的には、3ヶ月、6ヶ月、1年といった節目での習得目標を明確に設定し、定期的な面談を通じて進捗確認と課題解決を行う仕組みを構築します。これにより、外国人材自身も自分の成長を実感でき、長期的なキャリア形成への意欲向上につながります。

生活サポート体制の整備

業務スキルの向上だけでなく、日本での生活全般をサポートする体制も重要な要素です。相談しやすい環境を作り、住居や生活手続きに関するサポートを提供することで、外国人材が安心して働ける基盤を整備できます。

文化的相互理解を深めるプログラムの実施も効果的です。既存の日本人スタッフに対する多文化理解研修を行い、外国人材の文化的背景への理解を促進することで、職場環境全体の改善にもつながります。

施設と自治体の連携による効果的な育成環境

受け入れ施設側は、候補者の学習支援体制を計画的に整備する必要があります。日本語教育、介護技能研修、メンター制度といった仕組みを体系的に構築することで、早期離職を防ぎ、長期的な戦力化を実現できます。

自治体レベルでは、受け入れ手続きや雇用ノウハウの提供、助成金・補助金制度の明確化、多言語ツールや翻訳機の導入支援、指導者研修の実施などが推進されています。厚生労働省は令和7年度予算で外国人介護人材向けの支援事業を予算化しており、受け入れ準備・育成・定着の各フェーズをカバーする包括的な支援が期待できます。

長期的な効果と成功事例

整備された教育プログラムにより、外国人介護人材がより専門性を高め、長期雇用が実現するなど、多くの成功事例が生まれています。継続的なスキル強化を目的とした学習機会を提供することで、外国人介護人材が安心して長期にわたり働ける環境を創出でき、これは人手不足の解消や介護業界全体の成長に貢献します。

特に注目すべきは、適切な育成を受けた外国人材が、将来的に指導者やリーダー的役割を担うケースが増えていることです。多様なバックグラウンドを持つ人材の活躍により、介護サービスの質向上と組織の活性化が同時に実現されています。

外国人介護人材の育成は、短期的な人手不足の解消を超えて、持続可能な介護体制の構築という長期的視点での投資として捉えることが重要です。適切な支援体制の整備により、外国人材と日本人スタッフが共に成長できる環境を創出し、介護業界全体の発展に貢献していきましょう。