制度改正

介護分野の外国人人材育成とは?企業が押さえるべき制度と実践ステップ

2026/9/22
#外国人材育成#介護分野#特定技能#人事担当者向け
介護分野における外国人人材の育成は、採用だけでなく日本語教育・資格取得支援・定着支援までを一体で進める流れが強まっています。人事担当者向けに制度と実践のポイントを解説します。

介護分野で外国人人材育成が注目される背景

介護分野の人材確保は、多くの企業にとって喫緊の課題です。政府も採用支援だけでなく、日本語教育・介護知識の習得・国家資格取得・定着支援までを一体的に進める方向を明確に打ち出しています。

特に近年創設された育成就労制度により、育成就労から特定技能、そして介護福祉士へとキャリアを積み上げていく道筋が描きやすくなりました。特定技能とは、人手不足分野で即戦力となる外国人材を受け入れるための在留資格で、介護分野では日本語力と介護知識を備えた人材の受け入れが進められています。

法務省の資料でも、介護分野については「日本国内での就労を通じて技能を身につけてもらうことが適している」とされており、働きながら育成し、そのまま人材確保につなげる方針が示されています。厚生労働省も、海外現地への働きかけと受け入れ後の定着支援を両輪で進める姿勢を明確にしています。

介護分野の4つの受入れ・育成ルート

介護分野で外国人材を受け入れる制度は、主に次の4つに整理できます。

制度 育成・就労の特徴
EPA(経済連携協定) 政府間協定に基づく受入れで、介護福祉士候補者として来日し、資格取得を目指す枠組みです
在留資格「介護」 介護福祉士国家資格を持つ人が対象で、資格を生かして長期就労しやすい制度です
技能実習 介護職種が対象に追加されており、現場で技能を学ぶ経路として運用されています
特定技能 人手不足対応の就労制度で、日本語・介護知識を身につけた人材の受入れが進められています

それぞれ在留期間や更新条件、資格取得までの道筋が異なるため、自社がどのルートで受け入れるかによって、必要な育成支援の内容も変わってきます。採用担当者は、制度ごとの特徴を理解した上で、自社の人材戦略に合ったルートを選ぶことが重要です。

育成の実務で押さえるべきポイント

実際の育成現場では、次のような支援が重視されています。

日本語教育は、日常会話だけでなく、業務記録や申し送りを理解できるレベルまで引き上げることが求められます。介護現場では利用者の状態を正確に記録し、多職種と情報共有する必要があるため、専門用語を含む実践的な日本語力が欠かせません。

介護福祉士試験対策も、定着支援の中核をなす取り組みです。国家資格を取得することで、在留資格「介護」への移行が可能になり、長期就労の道が開けます。学習スケジュールの管理やフォロー体制の整備は、シンクタンクの調査でもその重要性が指摘されています。

また、海外現地での育成段階も見逃せません。現地の教育機関との連携、説明会の開催、教材整備、教員育成への支援など、来日前の準備が受け入れ後の定着にも大きく影響します。日本語だけでなく、職場文化やルールへの適応支援を行うことが、長期的な就労継続につながります。

採用前から中長期までの育成設計

育成を効果的に進めるには、時間軸を分けて設計することが実務上役立ちます。

採用前の段階では、現地での日本語教育や介護基礎教育を行い、就労目的を本人と共有しておくことが大切です。入職直後は、生活オリエンテーションや職場ルールの説明、安全衛生教育、記録の書き方指導など、現場に馴染むための支援が中心になります。

就労中は、OJTに加えて学習時間の確保やメンターの配置、資格試験対策の支援が求められます。そして中長期的には、特定技能から介護福祉士への移行支援やキャリア設計、継続的な定着支援を行うことで、長く活躍してもらえる体制を整えられます。

まとめ

介護分野における外国人人材育成の政策トレンドは、単なる人数確保から「育てて、資格につなげて、長く働いてもらう」形へと明確に移行しています。企業の人事担当者としては、採用時点だけでなく、育成・定着までを見据えた支援体制を構築することが、今後の人材戦略において重要な鍵となるでしょう。