制度改正

介護分野における外国人人材育成の完全ガイド:4つの制度と成功のポイント

2025/12/20
#外国人人材#介護分野#人材育成
介護業界の人材不足解消に向けて、EPA・在留資格「介護」・技能実習・特定技能の4制度を活用した外国人人材育成のポイントを解説。日本語教育から定着支援まで実践的なアドバイスをお届けします。

介護分野における外国人人材育成の重要性

日本の介護業界では深刻な人材不足が続いており、2025年には約32万人の介護職員が不足すると予測されています。この課題を解決する重要な手段として、外国人介護人材の育成が注目されています。

特に特定技能制度の拡大により、2023年末時点で特定技能1号(介護分野)の在留者数は28,400人規模まで拡大し、外国人人材の活用がより現実的な選択肢となっています。

外国人介護人材受け入れの4つの制度

外国人介護人材の受け入れは、主に以下の4つの制度を通じて行われています。それぞれの特徴を理解し、自社に最適な制度を選択することが重要です。

1. EPA(経済連携協定)

対象国: インドネシア・フィリピン・ベトナム
在留期間: 制限あり(介護福祉士資格取得で延長可能)
日本語要件: N4以上

EPAは介護福祉士国家資格取得を目指す制度で、就労しながら研修を受けられる点が特徴です。資格取得後は長期雇用が可能となるため、投資対効果の高い制度と言えるでしょう。

2. 在留資格「介護」

対象者: 介護福祉士国家資格取得者(留学生含む)
在留期間: 無期限更新可能
日本語要件: 高度(資格取得レベル)

既に介護福祉士資格を持つ外国人を雇用する制度で、即戦力として期待できます。養成校を卒業した留学生の多くがこの制度を利用しています。

3. 技能実習(介護)

対象者: 主にアジア圏出身者
在留期間: 最長5年
日本語要件: N4程度

技術移転を目的とした制度で、管理団体を通じた計画的な育成が行われます。特定技能制度への移行も想定されており、段階的なスキルアップが可能です。

4. 特定技能1号(介護)

対象者: 技能・日本語試験合格者
在留期間: 最長5年(介護福祉士資格取得で「介護」資格へ移行可能)
日本語要件: N4以上

最も活用が進んでいる制度で、技能実習からの移行者が多数を占めています。試験による能力確認後の雇用のため、一定の品質が担保されています。

外国人介護人材育成の4つの重要ポイント

1. 日本語教育の強化

介護現場では利用者や家族との細やかなコミュニケーションが求められます。以下の取り組みが効果的です:

  • 日本語試験対策講座の開催:N4からN3レベルへのステップアップ支援
  • 多言語ツールの導入:翻訳アプリや多言語マニュアルの活用
  • 職員間でのサポート体制構築:日本人職員による日常的な日本語指導

2. 文化理解研修の実施

日本の介護文化や職場環境への適応を支援することで、定着率向上につながります:

  • 異文化理解研修:日本の介護に関する価値観や慣習の説明
  • メンタルヘルスサポート:定期的な面談や相談窓口の設置
  • 生活支援:住居確保や生活相談への対応

3. スキルアッププログラムの充実

継続的な技術向上とキャリア形成支援が重要です:

  • 資格取得支援:介護福祉士試験対策や受験費用の補助
  • 研修プログラム:介護技術の向上や専門知識の習得
  • キャリアビジョンの提示:将来的な昇進や役職への道筋を明確化

4. 定着支援の強化

長期雇用を実現するための環境整備が不可欠です:

  • 待遇改善:適正な給与水準の設定と昇給制度の整備
  • 職場環境の改善:多様性を受け入れる組織文化の醸成
  • 定期的なフォローアップ:就労状況の確認と課題解決支援

自治体・政府支援の活用

外国人介護人材の育成には、各種公的支援を活用することで効果的な取り組みが可能です:

  • 厚生労働省の育成支援事業:令和7年度から新たな支援制度が創設予定
  • 自治体の補助金制度:福岡県をはじめ多くの自治体で日本語学習支援や指導者研修への補助
  • 2025年育成就労制度:技能実習制度に代わる新制度として人材育成機能を強化

成功事例に学ぶポイント

成功している介護事業所では以下の共通点が見られます:

  1. 組織全体での受け入れ体制:管理職から現場職員まで一貫したサポート
  2. 個別対応の重視:一人ひとりの能力や課題に応じた育成計画
  3. 継続的な改善:定期的な制度見直しと課題解決への取り組み

まとめ

外国人介護人材の育成は、単なる人手不足の解決策ではなく、多様性あふれる質の高いサービス提供を実現する重要な戦略です。4つの制度を理解し、日本語教育・文化理解・スキルアップ・定着支援の4つのポイントを押さえた育成プログラムを構築することで、持続可能な人材確保が可能となります。

政府・自治体の支援制度も積極的に活用しながら、外国人材と日本人職員が共に成長できる職場環境の整備を進めていきましょう。