分野別の転籍制限期間一覧|2年が8分野、1年が9分野
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「うちは何年で転籍できるようになるんですか」
育成就労の説明会で、いちばん多く出る質問のひとつですが、答えは分野によって違います。
同業の経営者から聞いた年数を自社にそのまま当てはめていたり、人材会社の資料に書かれた分野の数が実際と合っていなかったりすることがあります。こうした取り違えが、受入れ計画の前提を狂わせます。
2年が8分野、1年が9分野です
本人の意向による転籍が認められるまでの期間は、分野ごとに1年か2年のどちらかです。
出典は、出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項」で、原本には次のように書かれています。
育成就労制度においては、本人意向による転籍が認められているが、転籍制限期間は、1年とすることを目指しつつも、当分の間、育成就労産業分野ごとに、その業務内容等を踏まえて1年から2年までの範囲内で設定することとなっている
読み落としてはいけないのが「1年とすることを目指しつつも、当分の間」という部分で、これについては後で触れます。
一覧
出典は上と同じ資料です。分野名は原本の表記のままです。
2年の分野
| 分野 |
|---|
| 介護 |
| 建設 |
| 造船・舶用工業 |
| 自動車整備 |
| 外食業 |
| 工業製品製造業 |
| 飲食料品製造業 |
| 資源循環 |
1年の分野
| 分野 |
|---|
| ビルクリーニング |
| 宿泊 |
| 農業 |
| 漁業 |
| 林業 |
| 木材産業 |
| 鉄道 |
| リネンサプライ |
| 物流倉庫 |
合わせて17分野です。原本にも「育成就労産業分野は17分野である」と記載があり、数が一致します。出典は上と同じ資料です。
なお、自動車運送業と航空はこの一覧に入りません。原本によれば特定産業分野は19分野で、この二つは特定技能の側にだけ存在するため、育成就労で受け入れることはできません。出典は同じ資料です。
よくある取り違え、三つ
漁業と木材産業を2年だと思っている
この二つは1年です。市販の解説や社内資料で2年とされている例がありますが、原本の表では1年の側に入っています。
漁業や木材産業には、「育成に時間がかかる業種だから長いはずだ」という直感が働きやすいのですが、期間の設定は業務内容等を踏まえて分野ごとに決められたもので、直感とは一致しません。
2年の分野を数え落としている
2年の分野を挙げるときに、外食業・工業製品製造業・飲食料品製造業が抜けている資料をよく見かけます。2年の分野は8分野あります。
分野名を正式名称で書いていない
よくあるのは、中黒を落とす間違いです。原本の表記は「造船・舶用工業」で、中黒が入ります。
申請書類や社内規程では、正式名称で統一してください。分野名がずれていると、どの分野の話をしているのかが社内で揃わなくなります。
分野と業務区分は、別の階層です
一覧を見るときには、もう一段の区別が必要です。分野の下に、業務区分があります。
たとえば工業製品製造業には、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理、印刷・製本、縫製など、多くの業務区分が置かれています。建設は土木・建築・ライフライン設備の三つ、造船・舶用工業は造船・舶用機械・舶用電気電子機器の三つです。出典は上と同じ資料の「特定産業分野・育成就労産業分野及び業務区分一覧」です。
期間が決まるのは分野の単位で、同じ分野の中であれば、業務区分が違っても期間は同じになります。
ここを取り違えると、「うちの作業はこの区分だから別扱いのはずだ」という誤解が生まれます。自社がどの分野のどの業務区分にあたるかは押さえたうえで、期間の判断は分野で行ってください。
なお、所管する省庁も分野ごとに分かれています。介護・ビルクリーニング・リネンサプライは厚生労働省、宿泊・建設・鉄道などは国土交通省、農業・漁業・外食業・飲食料品製造業などは農林水産省、工業製品製造業は経済産業省、資源循環は環境省です。問い合わせ先を探すときの手がかりになります。
「当分の間」の意味
冒頭に引いた原本の一文に戻ります。
1年とすることを目指しつつも、当分の間、……1年から2年までの範囲内で設定することとなっている
2年という設定は、恒久的なものとして置かれているわけではありません。制度の方向としては1年を目指すと書かれており、2年はその途中経過です。
これは受入れ計画に直接効いてきます。いま2年の分野だからといって、数年先も同じ年数である前提で投資回収を組むのは危険です。期間が短くなる側にだけ動く可能性がある、という読み方をしておいてください。
逆に、1年の分野の企業にとっては、いまの1年が当面の下限だと考えておけます。
期間が過ぎたら何が起きるのか
誤解されやすい点を一つ挙げておきます。転籍制限期間が過ぎても、それで転籍が起きるわけではありません。期間は「本人の意向による転籍が認められるようになるまで」の長さです。過ぎた時点で自動的に何かが起きるわけではなく、本人が動くかどうかは別の話です。
また、本人の意向による転籍には、期間以外にも満たすべき要件があります。技能と日本語能力の水準が分野別運用方針で定められており、分野ごとに異なりうるとされています。具体的な水準については、自社の分野の運用方針を直接確認してください。この記事では扱いません。
自社の期間を、どこに書いておくか
期間を調べたら、調べたことを書いて残してください。口頭で共有すると、必ず誰かが別の年数で覚えてしまいます。置き場所は三つあります。
- 受入れ計画の前提条件として、年数と出典を並べて書く
- 採用の社内稟議に、回収期間の前提として書く
- 現場の責任者に渡す資料に、いつから転籍が起こりうるかを書く
抜けやすいのは三つめです。現場が知らないまま「急に辞めると言い出した」と受け取ると、制度の話が個人の裏切りの話にすり替わります。
経営者が明日できること
- 自社の分野が1年か2年かを、原本にあたって確認する。人づてや二次情報で済ませない
- 社内資料に書かれている年数と分野名を、正式名称で突き合わせる
- 2年の分野なら、「当分の間」という但し書きを前提条件に書き添える
- 現場の責任者に、いつから転籍が起こりうるかを伝えておく
年数は、転籍を防ぐための情報というより、いつから何が起こりうるかを社内で同じ前提にするための情報です。そこが揃っていないと、起きたときに議論が感情の話から始まります。
この記事で引いた原本
- 出入国在留管理庁・厚生労働省「分野別運用方針の主要な記載事項」(令和8年1月23日閣議決定された分野別運用方針に基づく資料)
分野別の期間・分野数・正式名称は、いずれもこの資料の記載によります。制度は改正されます。この記事の内容は時点注記の日付時点のもので、実際の手続きにあたっては最新の運用方針をご確認ください。
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